Pepperに続くのはどれ? 2016年に発売された3大コミュニケーションロボット

By on 2016-12-03

2015年6月に一般販売が開始されたソフトバンクロボティクス製の「Pepper」以降、コミュニケーションロボット市場がにわかに盛り上がっている。

 

コミュニケーションロボットとは、会話や動作で人間とコミュニケーションするロボットのこと。ランダムやパターン認識で会話をする“おしゃべりロボット”なども含まれるが、最近では、インターネットを介してクラウドと接続し、学習や機能追加が行えるものが主流になっている。

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Pepperについては、法人向けモデルの「Pepper for Biz」の提供が開始され、2016年には店舗や観光地、企業の受付などでの採用が相次いだ。2月には公式アプリストアの「ロボアプリマーケット for Biz」が公開され、サードパーティ製のロボアプリも揃いつつある。コミュニケーションロボットでは一歩先行く存在だといえる。

 

そんなPepperに続くコミュニケーションロボットにはどのようなものがあるのか? 今回は、2016年に発売された3種のコミュニケーションロボットについて、詳しく見ていきたい。

 

モバイル型ロボット電話「ロボホン」

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最初に取り上げるのは、シャープが2016年5月に発売した「ロボホン(RoBoHoN)」だ。

 

ロボホンは、モバイル型ロボット電話を名乗り、いわば携帯電話機能付きのコミュニケーションロボット。LTE/3Gに対応し、対話しながら電話やメール、カメラや各種アプリを利用できる。

 

携帯電話だけに身長は約19.5cmと小型。さらに、2足歩行をしたり、頭部に内蔵したレーザープロジェクターで写真や動画を投影してくれたりと、可愛らしさ、健気らしさを感じさせるのが特徴だ。

 

発売後も新規アプリによる機能追加が行われており、ロボホン同士が会話して友達になる「ロボ会話」、ロボホンが1人で魚釣りをする「ロボ釣り」といったアプリを公開。これらのアプリからも、利便性だけでなく、可愛らしさを重視している姿勢がうかがえる。

 

ロボホンの本体価格は、Pepperの一般向けモデルと同様の19万8000円(税抜、以下同)。さらに利用料として、ココロプラン月額980円(SIM利用料は別途)がかかる。なお、本体価格は24回の分割払いも可能。

 

本体価格に加えて月々の利用料がかかるのが特徴だが、Pepperの基本プラン月額1万4800円(3年契約)と比べると、比較的手頃といえる。

 

また、ロボホンでは10月より、ビジネス用アプリをセットにした法人向けプランの提供も開始しており、受付や接客、観光案内などでの法人利用も積極的に展開していく構えだ。さらに、ロボホン専用アプリの開発者を支援する認定開発パートナー制度も開始するなど、サードパーティ製アプリの充実にも力を入れる。

 

8月に正式に鴻海傘下となり、再建を進めるシャープ。ロボホンは月産5000台であり、売上への貢献度は低いものの、そのコンセプトや機能は好意的に受け入れられており、新生シャープの期待の星といえそうだ。

 

“顔”が特徴のコミュニケーションロボット「Tapia」

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今年発売されたコミュニケーションロボットのうち、比較的安価といえるのが、MJIが2016年6月に販売開始した「Tapia(タピア)」だ。

 

Tapiaは、“顔”の部分がディスプレイとなっている見た目が特徴のコミュニケーションロボット。ディスプレイで表情を変化させるほか、タッチパネルで操作を行うこともできる。

 

機能としては、頭部に内蔵したカメラによる見守りやテレビ電話、写真撮影が可能。また、ニュースや天気の読み上げ、人工知能と感情認識技術を活用した会話なども行える。

 

据え置き型のロボットながらSIMカードを装着できるのも特徴で、とりわけ固定回線を引いていない高齢者宅の見守り用途などには優位といえるだろう。

 

ちなみに、“顔“がディスプレイとなっているロボットは、Tapiaのほかにも、仏Blue Frog Roboticsの「BUDDY」、KDDIなどが出資した米Jiboの「Jibo」(いずれも日本未発売)、ユニロボットの「Unibo」があり、低価格帯のロボットにとってのスタンダードな形態となりそうだ。

 

Tapiaの本体価格は9万8000円。ロボホンやPepper、後述するKibiroとは異なり、月額利用料が不要となっているのが特徴だ。ただし、開発中の家電のコントロールが可能となるIoT機能は、オプション機能としての提供を予定している。

 

法人向けの展開としては、9月にエスキュービズム・テクノロジー(現エスキュービズム)と業務提携。エスキュービズムが提供するホテル向けIoTソリューションにおいて受付ロボットとして採用されたほか、他業態への展開も検討されている。そのほか、ハウステンボスが運営する変なレストランでは、全テーブルにTapiaが導入されている。

 

ロボホンと比べるとTapiaのユーザーの声は見えてきづらいが、MJIが開設している公式コミュニティサイトでは、一部に厳しい意見も見られる。前述のように月額利用料がかからない買い切りモデルのロボットとなっているのがTapiaの特徴だが、機能改善や追加機能の開発を安定して実施するためには、課金モデルへの転換が必要といえるかもしれない。

 

人工知能搭載ロボット「Kibiro」

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最後に取り上げるのは、FRONTEOが2016年11月に一般向けの予約受付を開始した「Kibiro(キビロ)」だ。出荷は2017年2月以降となっているため、厳密には2016年に発売されたコミュニケーションロボットといえないかもしれないが、そこは目をつぶっていただけると有り難い。

 

Kibiroは、同社が開発した人工知能「KIBIT」を搭載したコミュニケーションロボット。機体には、ヴイストン製のロボット「Sota」を採用し、会話だけでなくダンスなどの動作も可能となっている。

 

人工知能のKIBITは、テキストから文章の意味を読み取り、人間の暗黙知や感覚を学ぶことで、人間の判断や情報の選び方を再現するのが特徴。Kibiroでは、クラウドを介してKIBITとつながることで、会話やチャットなどのテキスト情報からユーザーの趣味・嗜好を学習し、ユーザーに合った情報をレコメンドすることができる。

 

一般向けの初回版では、書籍と健康情報に関するレコメンド機能を備えており、今後のバージョンアップによって、新たなレコメンドコンテンツを追加する予定。

 

Kibiroの本体価格は15万円。利用料は月額5000円(12カ月分の一括払い)。本体価格はロボホンとTapiaの中間だが、利用料はロボホンよりも割高となっている。

 

一般向け販売に先がけて、法人向けでは、すでに導入実績があり、キヤノンマーケティングのショールームや、青山ブックセンタースターフライヤーのアンテナショップにて、レコメンド機能を活用した設置を行っている。

 

なお、FRONTEOは7月に旧社名のUBICから改称。子会社でKibiroの開発元であるRappaも、FRONTEOコミュニケーションズと社名を変更した。同社はこれまで国際訴訟などにおける電子データの証拠保全と分析などのリーガル事業を中心に展開してきたが、今後は人工知能 KIBITを軸に、ヘルスケアやマーケティングなどリーガル以外の事業も強化していく構えだ。

 

人工知能 KIBITによるレコメンド機能がKibiroの特徴といえるが、前述のように、一般向けの初回版では書籍と健康情報に関するレコメンドのみと、まだ充実度は低い。レコメンド機能は店舗などの法人利用でも差別化要素となるため、KIBITの性能向上に加えて、新たなレコメンドコンテンツの追加が期待される。

 

2017年のコミュニケーションロボット展望

 

ここまで2016年に発売されたコミュニケーションロボットを見てきたが、2017年発売予定で注目のロボットとしては、トヨタの「KIROBO mini」が挙げられる。

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KIROBO miniは、高さ10cmのコンパクトなロボットで、内蔵のカメラから人間の表情を読み取り、気持ちに寄り添った会話や動作が可能だとしている。本体価格は3万9800円となる見込みで、ここまで紹介したコミュニケーションロボットと比べると手頃といえる。

 

ただし、会話や動作は専用アプリをインストールしたスマートフォンとBluetooth接続することで利用可能。イメージとしてはタカラトミーの「OHaNAS」に近く、単体ではコミュニケーションロボットとして使えないことには注意が必要だ。

 

そのほかにも、さまざまなコミュニケーションロボットの登場が期待されるが、機能や音声認識の精度、人工知能の性能はもちろんのこと、一般家庭への普及を考える上では、本体価格や利用料にも注目したい。

 

また、日本発売は未定だが、Amazon EchoやGoogle Homeといったホームアシスタントも、家庭向けのコミュニケーションロボットにとっては強力なライバルになるだろう。突き詰めれば、なぜ人型ロボットの形をしているのかを考える必要があるが、この点では、ロボホンのような可愛らしさを重視する戦略は重要だといえそうだ。

 

一方、法人向けのコミュニケーションロボットでは、特定の個人と深くコミュニケーションするのではなく、不特定多数の人間と広く浅くコミュニケーションするため、家庭向けとは異なったアプローチが必要になる。声をかけられるためには人型ロボットであることは必須といえるほか、さまざまな業態に応じたアプリの充実も重要になるだろう。

 

2017年におけるコミュニケーションロボットでは、先行するPepper、ロボホンが話題の中心になると思われるが、その立場を脅かすような革新的なロボットの登場にも期待しておきたい。

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